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- 2026/10/09
所有者が認知症でも不動産は売却できる?家族が知っておきたい3つの選択肢
所有者が認知症でも不動産は売却できる?
家族が知っておきたい3つの選択肢
「親が施設に入ることになり、費用のために実家を売りたい」 「親が認知症になり、誰も住まなくなった家をそろそろ整理したい」
こうした悩みを抱えたとき、多くの方が直面するのが「家族であっても、本人に代わって勝手に売ることはできない」という現実です。
今回は、所有者が認知症になった場合に不動産がなぜ売りにくくなるのか、そして家族が取れる3つの選択肢について解説します。
なぜ認知症の人の不動産は売れないのか
不動産の売買契約は、所有者本人が「売る」という意思を持ち、契約の内容を理解したうえで結ぶのが大前提です。本人に意思能力がない状態で結ばれた契約は、無効になる可能性があります。
また、たとえ家族であっても、本人の代わりに不動産を売却する権限は当然には認められていません。「委任状をもらえばいい」と考える方もいますが、委任状を作成する時点で本人に意思能力が必要なため、すでに判断能力が低下している場合は有効な手段にはなりません。
なお、認知症と診断されたからといって、直ちにすべての契約ができなくなるわけではありません。症状が軽く、売却の内容を理解して判断できる状態であれば、本人の意思で売却できる可能性もあります。ただし、その判断は非常にデリケートで、後から「契約時に意思能力がなかった」と争われるリスクもあるため、医師や司法書士・弁護士などの専門家に確認しながら慎重に進める必要があります。
選択肢① 成年後見制度を使う
すでに本人の判断能力が低下している場合に、最も一般的な方法が「成年後見制度」です。
家庭裁判所に申立てを行い、本人に代わって財産を管理する「成年後見人」を選任してもらいます。選任された後見人が、本人に代わって不動産を売却できるようになります。
注意しておきたいポイント
- 居住用不動産の売却には、家庭裁判所の許可が必要です。 本人が住んでいた(あるいは住む予定だった)家を売る場合、売却の必要性や価格の妥当性などが審査されます。
- 売却代金は本人のために使うお金です。 家族が自由に使えるわけではなく、施設費用や医療費など、本人の生活のために管理されます。
- 誰が後見人に選ばれるかは、家庭裁判所が決めます。 希望した親族ではなく、司法書士や弁護士などの専門職が選ばれる場合もあります。
- 申立てから選任まで、数ヶ月かかることがあります。 売却を急ぐ場合は、早めの準備が必要です。
- 後見人の選任後は、原則として本人が亡くなるまで制度が続きます。 売却が終わったから終了、というわけではない点も理解しておきましょう。
選択肢② 元気なうちに備える(家族信託・任意後見)
本人の判断能力が十分にあるうちであれば、将来に備えて次のような方法を取ることができます。
家族信託:本人(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に不動産の管理や売却を任せる契約を結ぶ方法です。契約の内容に基づいて、受託者が本人に代わって売却できるようになります。
任意後見契約:将来、判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ後見人になってほしい人と契約を結んでおく方法です。判断能力が低下した後、家庭裁判所が監督人を選任した時点から効力が生じます。
いずれも、契約を結ぶ時点で本人に十分な判断能力があることが必要です。すでに認知症が進んでいる場合は利用できないため、「まだ大丈夫」と思っているうちに、早めに検討することが大切です。
選択肢③ 売却せず、相続後に売却する
すぐに売却する必要がない場合は、本人が亡くなった後、相続人が相続手続きを経て売却するという選択肢もあります。成年後見の手続きや、家庭裁判所の許可を経る必要がなく、相続人同士の話し合いで売却を進められる点がメリットです。
一方で、それまでの間、空き家の管理や固定資産税などの維持費の負担が続くというデメリットもあります。建物の老朽化や近隣トラブルといったリスクもあるため、「いつまでに判断するか」の目安を決めておくことをオススメします。

進め方と、早めに相談すべき理由
認知症のご家族の不動産について検討する場合は、次のような流れで進めるのが一般的です。
1.本人の状態を確認する:医師の診断書などをもとに、現在の判断能力の程度を把握する
2.親族間で方針を話し合う:売却するのか、しないのか、親族間で認識をそろえておく
3.専門家に相談する:成年後見の申立てが必要か、他の方法が使えるかを確認する
4.売却時期から逆算して準備する:成年後見の手続きには時間がかかるため、早めに動き始める
特に、施設の入居費用など、期限のあるお金が必要な場合は、手続きにかかる時間を考えると、早い段階での相談が結果的に負担を減らします。
まとめ
所有者が認知症になっても、不動産を売却する方法は残されています。ただし、状況によって取れる手段は大きく異なり、手続きにも時間がかかります。「どの方法が自分たちの場合に合うのか」を早めに整理しておくことが、家族の負担を減らす近道です。
「親の家をどうすればいいか分からない」「何から手をつければいいか不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。当社では提携する司法書士・弁護士と連携しながら、不動産の売却と、必要な手続きの両面からサポートいたします。
※本記事の内容は一般的な制度の説明です。個別の法律判断は、弁護士・司法書士等の専門家にご確認ください。



